システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントの基礎②

 

はじめに

DX化の推進を背景に、システム開発プロジェクトを適切に管理する「プロジェクトマネジメント」の重要性は高まっています。

本記事では、「システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントの基礎」を、主に初めてシステム開発プロジェクトを担当することになった方向けに解説します。

なお本記事は「システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントの基礎①」の続きになります。

まだ読んでいない方はこちらから先に読んでいただくことをお勧めします。

システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントの基礎①

 

PMとPMOの違いとは

プロジェクトマネジメントを理解する上で、「PM」と「PMO」の違いを理解することは重要です。

PM

「PM」とはProject Manager の略です。

その役割は「プロジェクトにおける重要事項を意思決定する責任者」としてプロジェクトを推進する人物を指します。

PMO

一方で「PMO」はProject Management Office の略で、その役割は「プロジェクトにおける意思決定を支援する」ことです。

つまり、PMが意思決定するために必要な情報を可視化・整理することがPMOの役割と言えます。

システム開発プロジェクトにおける一般的な体制図を以下に示します。

 

「PM」と「PMO」との違いは端的に「意思決定責任があるか否か」と表現できます。

任されたポジションが「PM」なのか「PMO」なのか、を正確に理解することは、自身の役割や期待値を把握する上で非常に重要なので、混同しないようにしましょう。

 

なお参考までに、「PGMO」というものもあります。

Program Management Office の略で、複数のプロジェクトが並行してそれらが同じゴールに向かって整合をとりながら進めていくべきものである場合、プロジェ クトの集合体をプログラムとして捉え、その全体のプランニング・マネジメントを担っていくべき機能をPGMOと呼びます。

 

プロジェクトマネジメントを行う上でのPMBOKの意義

プロジェクトマネジメントを行うにあたり、「PMBOK」を理解することは重要です。

この「PMBOK」を理解することで、「プロジェクトマネジメント」とは具体的にどのようなことを行うものなのか、が理解できると言っても良いでしょう。

「PMBOK」は、Project Management Body of Knowledge の略で、「プロジェクトマネジメント知識体系」と略すことができ、「ピンボック」と呼ばれます。

PMBOKは1987年にアメリカの非営利団体である「PMI(Project Management Insitute)」により、「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というプロジェクトマネジメントを行う上で実践すべき知識体系をまとめたレポートが発表されて以来、世界各国に知られわたるようになり、今では「プロジェクトマネジメントにおける世界基準」として浸透しています。

1996年に「PMBOK 初版」が公表されて以来約4年に1度のペースでアップデートされており、2022年時点では第7版が最新となっています。

PMBOKの意義は、これまで勘や経験を頼りに行われていたプロジェクトマネジメントを、そのプロセスを体系化しプロジェクトマネジメントの正攻法を確立させたことです。

これからプロジェクトマネジメントを行う方にとって、PMBOKを理解せずにプロジェクトマネジメントを行うのは武器を持たずに戦場に行くようなもので、戦い方さえ分からないのと同義ですので、しっかり抑えましょう。

そんなPMBOKですが、「10の知識エリア」と「5のプロセス」で成り立っています。

以下図は「PMBOKマトリクス」と呼ばれるもので、PMBOKの知識体系を表す際に必ず登場するものです。

横軸の「プロセス」は以下5つで構成されており、

  • 立ち上げ
  • 計画
  • 実行
  • 監視・管理
  • 終結

縦軸の「知識エリア」は以下10つで構成されています。

  • 統合管理
  • スコープ管理
  • スケジュール管理
  • コスト管理
  • 品質管理
  • 組織管理
  • コミュニケーション管理
  • リスク管理
  • 調達管理
  • ステークホルダー管理

 

PMBOKでは、上述の各プロセス×知識エリア毎に作成すべき成果物が定義されており、例えば、「立ち上げ」プロセスの「統合管理」知識エリアにおいては、「プロジェクトスコープ記述書暫定版」という成果物を作成することになっています。

この「プロジェクトスコープ記述書暫定版」とは、プロジェクトにおける実行スコープを定義したもので、プロジェクトにおける重要な意思決定をする上で、必ず立ち返るべき重要な定義項目となります。

このようにPMBOKでは各プロセス×知識エリア毎に成果物を作成することが推奨されており、その作成方法も定義されています。

以下のように、成果物を作成するための「入力(Input)」があり、「ツールと技法」を用いて「出力(Output)」する、という流れです。

 

要約すると、PMBOKは「このフェーズはこの手法でこの成果物を作成し合意すべし」というプロジェクトマネジメントにおける羅針盤的役割を果たすものです。

各プロセス×知識エリア毎に作成すべき成果物の具体的な作成方法や注意点は別記事で解説します。

PMBOKに関して原文で学習したい方向けに、以下公式PMBOKガイドをご紹介しておきます。

 

さいごに

本記事では、プロジェクトマネジメントを行うにあたりPMBOKを理解することの重要性を解説させていただきました。

 

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ありがとうございました。

 

 

 

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