自社の立ち位置を明確にしたり他社との差別化を図ることができ、戦略立案をする際に用いられるマーケティング手法である「STP分析」。
マーケティング戦略を策定する上で非常に重要なフレームワークの1つです。
この分析(S:セグメンテーション・T:ターゲティング・P:ポジショニング)を行うことで、より効果的なマーケティングやプロモーションを実施できる可能性が高まります。
本記事では、STP分析の概要や基礎知識、STP分析を行う際の手順(※テンプレート付き)、注意点などを徹底解説していきますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
STP分析のテンプレートはこちら

STP分析とは、セグメンテーション(Segmentatoin)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の3つの頭文字をとったフレームワークになります。
自社の立ち位置の明確化や他社との差別化を図ることができ、戦略立案に活用することができます。
STP分析を上手く活用することで、商品やサービスをローンチする前に、顧客ニーズや要望を把握することができ、より顧客や市場に適した商品・サービスを提供できるようになります。
上図にもありますが、もう少し詳細に分かりやすく解説していきますので、より理解を深めていきましょう。
セグメンテーション(Segmentatoin) |
市場を細分化することを指す。一般的に次の4つの指標が用いられる。 ・地理的セグメンテーション:物理的な場所や地域に基づいて、市場を分割する。都市部・郊外・農村地域など、顧客の生活スタイルに基づいたセグメンテーションができる。 ・人口統計的セグメンテーション:人口統計情報(年齢・性別・職業・収入etc)に基づいて、市場を分割する。ライフスタイル・価値観・行動パターンなどを把握できる。 ・心理的セグメンテーション:顧客の心理状態・利用目的・購入意欲などに基づいて、市場を分割する。商品やサービスに関する顧客のニーズや好みを把握できる。 ・行動的セグメンテーション:購入頻度・購入金額・使用頻度など顧客行動に基づいて、市場を分割する。商品やサービスの利用方法や購入タイミングなどを把握できる。 |
ターゲティング(Targeting) |
市場を細分化したのちに、自社が狙いにいくべき市場を決めることを指す。特定のセグメントにフォーカスして、そのセグメントに最適化された商品やサービスを提供していく。より正確なセグメンテーションをすることで、需要や収益性の高い市場に焦点を当てることができる。 |
ポジショニング(Positioning) |
ターゲティングした市場の中で、自社の立ち位置を決めることを指す。ターゲット市場のニーズを理解することや競合他社のリサーチをすることで、自社のオリジナル性の確立や他社との差別化をすることができる。そのうえで、価格の設定や自社に適した戦略立案に繋げる。 |
STP分析の概要を理解したところで、次はSTP分析の役割・目的には、どのようなものがあるのか解説していきます。
- よりニーズに合わせた商品やサービスを提供することができるようになる
- どのような顧客がいるか把握することができる
- 顧客満足度を向上させることができる
- 市場における競合状況を把握でき、他社との差別化ポイントを発見できる
- 各セグメントの需要を把握できるため、より効果的なマーケティングを行うことができる
これらのようにSTP分析は、マーケティング計画を立てるうえで非常に重要な役割を果たしてくれます。
あくまでマーケティングにおけるフレームワークの1つではありますが、「マーケティング戦略の立案」という観点において、必ず役に立つので覚えておいて損は絶対にないでしょう。
それでは実際に、STP分析のやり方・手順を見ていきましょう。
- STP分析を実施する目的とゴールを明確にする
- 市場のセグメンテーションを行う
- 各セグメントのターゲット市場を決める
- ターゲット市場に合わせたポジショニングを行う
- マーケティング戦略の決定・実施・改善を行う
1. STP分析を実施する目的とゴールを明確にする
まずは、「なぜ」STP分析を実施するのか目的を明確にしましょう。
目的が不明瞭のまま分析作業を行ってしまうと、「分析結果の精度が低い」「そもそも見当違いの分析を行ってしまった」など、無駄なリソースを割いてしまう可能性があります。
そのうえで、自社が目指すべきゴールも明確にする必要があります。
目的とゴールを明確にすることで、より効果的・効率的な分析ができますし、後のマーケティング戦略を立案する際にも、より自社に合った意思決定ができるようになります。
また、目的とゴールを明確にするだけでなく、従業員・メンバーにも共有するようにしましょう。
2. 市場のセグメンテーションを行う
それでは実際に分析作業に入っていきます。
まずは、市場のセグメンテーションを行っていきましょう。
顧客を類似した属性やニーズ、行動パターンなどに基づいてグループ分けすることで、ターゲット市場を明確化することができます。
前述したように、地理的・人口統計的・心理的・行動的の4つの指標を用いてセグメンテーションを行うケースが多いです。
例えば、
- 年齢、性別、職業、収入などの属性をもとにグループ分けする
- 顧客が抱える悩みやニーズ、購入に至るまでの行動をもとにグループ分けする
- 地域ごとに異なるニーズや文化を考慮しながらグループ分けする
これらのように、自社の商品やサービスに合わせて市場を細分化し、セグメンテーションを実施していきましょう。
ただし、セグメンテーションはあくまで目安になるので、必ずしも全てを把握できるわけではないので注意が必要です。
3. 各セグメントのターゲット市場を決める
それでは次に、各セグメントにおいて以下のような観点を考慮しながらターゲット市場を決めていきます。
- セグメントの規模と成長性:特定のセグメントが多くの顧客を抱え、成長性が高い場合は、そのセグメントをターゲティングする。
- 特徴やニーズに合った商品やサービスの提供:セグメントごとに異なる特徴やニーズを把握し、それに合った商品やサービスを提供する。
- 競合他社の分析:自社の差別化ポイントや競合優位性を明確にする。
- ターゲット市場の適合性:セグメントの特徴やニーズに合わない市場をターゲティングすると、マーケティング活動の精度が落ちる可能性がある。
上記のように、セグメントごとに異なる観点を考慮しながらターゲット市場を決定することで、より効果的なマーケティング活動を行うことができます。
4. ターゲット市場に合わせたポジショニングを行う
ターゲット市場を決定した次は、それに合わせたポジショニング(自社の立ち位置を決める)を行っていきましょう。
以下のようなステップで、適切なポジショニングを行うことができます。
1.ターゲット市場のニーズや要望を把握する
顧客が求めるものや競合との差別化ポイントを把握する。
2.自社商品やサービスの差別化ポイントを明確にする
自社の強みや差別化ポイントを明確にして、それらを強調するようなポジショニングを行う。
3.ポジショニングの戦略を策定する
自社のビジョンや戦略、ブランドイメージなどを考慮しながら、ターゲット市場に適したポジショニングを決定する。
5. マーケティング戦略の決定・実施・改善を行う
STP分析は、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを行うフレームワークですが、これらを分析したうえでマーケティング戦略・アプローチ方法を決定するまでが、一連の流れになります。
分析作業を行い、そこで終わることがないようにしてください。
あくまで、「マーケティング戦略の決定・実施・改善」を行うための、下準備だと考えるようにしましょう。
しかし、STP分析だけで全てを網羅できるわけではありません。
その他のフレームワークや分析方法と併用することで、より効果的なマーケティング活動ができるようになります。
それでは最後に、STP分析を行う上での4つの注意点について見ていきましょう。
- セグメンテーションの方法を選定する際は、必ず顧客のニーズや特徴に基づいて分類するようにし、客観的な視点・基準で考えるようにする。
- ターゲット市場を選定する際は、市場規模・成長性・競合状況などの様々な要素を総合的に考慮しながら決定する。
- 常に市場環境や顧客のニーズに変化に対応できる柔軟性を持つようにする。
- 分析作業には、十分な時間や人のリソースを割くようにする。そのうえで、客観的な情報を元にマーケティング戦略やアプローチ方法の決定・実施・改善を継続的に行う。
これらの点に注意しながらSTP分析を行い、より効果的なマーケティング活動に繋げられるようにしましょう。
以上、「STP分析」について解説してきました。
このSTP分析は、マーケティング戦略を策定するうえでは欠かせない重要なフレームワークの1つです。
自社の立ち位置を明確にしたり、他社との差別化をできたり、事業の成長に大きく関わる要素を分析することができます。
概要をしっかり理解すれば、さほど難しくはない分析手法になりますので、ぜひ今後のビジネスに役立てられるようにしましょう。
また、STP分析だけでなく様々なフレームワークと併用することで、より効果的なマーケティング活動ができるようになるので、1つ1つ理解して上手く活用できるようになりましょう。
本記事を執筆している KICK ZA ISSUE株式会社では、新規事業の立ち上げに強みを持ったマーケティング・戦略コンサルタントが多く在籍しております。
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ありがとうございました。
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